レッドブル・ホンダに厳しい現実。必要なのは「魔法のパスワード」だ (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 ホーナーの言うオペレーティングウインドウもほぼ同じ意味だが、こちらはタイヤのグリップを引き出すための温度幅だ。その幅に収まっている時には高い性能を発揮するが、すぐにオーバーヒートしたり冷えたりして、その幅から外れてグリップを失いやすい。

 その結果、RB15の挙動はトリッキーで予測がしづらく、扱いにくいものになっていた。

「このマシンのスイートスポットを見つけ切れていないのは事実だよ。このクルマについて、まだまだ学ぶ必要がある」(フェルスタッペン)

「あるコーナーでは大丈夫だったのに、次のコーナーでは突然リアのグリップを失ったりする。トラクション(加速グリップ)もなくなる。挙動の予測ができなくて、自信を持って攻めていくことができない」(ピエール・ガスリー)

 レッドブルのマシンに慣れ親しんだフェルスタッペンはそんな状態でもなんとか乗りこなしているものの、ガスリーがここまで手を焼いているのはRB15のトリッキーな特性によるところが大きい。

 そのスイートスポットに確実に入れるためにはどうしたらいいか。もしくは、その幅を広くするにはどうしたらいいか。それも、本来のパフォーマンスを損なうことなく対処しなければならない。

「我々には車体側で解決しなければならない要素がある。現時点で我々が集中すべきなのはタイヤの問題を理解することと、マシンをオペレーティングウインドウに入れることだ」

 ホーナーはそう語るが、問題点はわかっていても原因を究明するには時間がかかるだろう。

「こういう問題を究明していくときは、問題点をいろんな角度から見ることになるし、それ以外の部分も事細かにチェックしていかなければならない。今週末はいいデータが大量に得られたので、集中すべきエリアがどこなのか、ようやく理解し始めたところだ」

 加えて、メルセデスAMG勢も「ストレートだけで0.5秒も遅れを取っている」と驚いたように、フェラーリがストレート速度を急激に上げてきた。金曜から予選モードをトライして大きな差をつけたことと、それは無関係ではないだろう。

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