レッドブル・ホンダに厳しい現実。必要なのは「魔法のパスワード」だ (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「ずっとグリップ不足に苦しんでいて、あちこちで滑りまくっていた。オーバーステアがひどくて、よかったと思えるようなラップは1周たりともなかったくらいだ。とにかく、マシンを最後まで運ぶだけのレースだった」

 そう語るマックス・フェルスタッペンは、決勝の最後にシャルル・ルクレールがMGU-H(※)のトラブルで後退して3位浮上のチャンスが巡って来たものの、セーフティカー導入で4位に終わったことについても、サバサバとした表情を見せた。

※MGU-H=Motor Generator Unit-Heatの略。排気ガスから熱エネルギーを回生する装置。

「いずれにしたって、今日の僕らは表彰台に値しない。だから、セーフティカーで表彰台を失ったからといっても、そんなに残念な結果ってわけじゃない」

 レッドブルが速さを失った理由は何だったのか――。それは、彼ら自身も明確に把握できているわけではない。

 タイヤ、とりわけC3(ソフト)タイヤのグリップをうまく引き出し切れなかったのが大きいようだが、メルボルンでは、同じC3タイヤで快走を見せただけに、バーレーンでどうしてそれができなかったのかを究明しなければならない。

 チーム代表のクリスチャン・ホーナーは、「RB15は車体とタイヤの性能をフルに引き出すことができるセッティングの幅が狭く、バーレーンではそこから外れてしまったがため、本来の速さを発揮できなかった」と説明する。

「今週は予選でも決勝でも、タイヤの性能を最大限に引き出すことができなかった。今のRB15はオペレーティングウインドウが非常に狭くて、トリッキーなマシンなんだ。フェラーリはマシンを適切なウインドウに入れることによって、2週間前とは見違えるような速さを見せた。メルセデスAMGはその真逆だ。魔法のパスワードがどこにあるのか、それを理解しなければならない」

 一般的に、空力を攻めてデザインしたマシンは過敏で、トリッキーな挙動を示しやすい。空力性能が最大限に発揮できている時は高い走行性能を誇るが、その空力性能は車体姿勢や風向きの変化などに影響されやすく、安定して発揮させるのが簡単ではないからだ。いわゆる、「スイートスポットが狭い」という状態だ。

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