佐藤琢磨も感嘆。インディカーに18歳の史上最年少ウィナー誕生 (3ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 レース終盤、彼がこの日3回目の、そしてこのレース最後のピットストップを行なうと、その直後に他車のアクシデントが発生してフルコースコーションとなった。ペースカー導入、追い越し禁止となって、パワーとロッシはコースの安全が確保された後にピットに向かうしかなかった。

 作業を終えてコースに戻ると、ハータをはじめすでにピットストップを終えていたドライバーたちの後ろ、14番手、15番手でレースに復帰。レースが再開されると、もう残り周回数は10周しかなく、彼らは中団グループに埋もれたままゴールを迎えるしかなかった。

 絶妙のタイミングで出されたフルコースコーションで、ハータはトップに躍り出た。タイヤの消耗が大きく、周回を重ねるとペースダウンしていた不利が、幸運につながったのだ。

「まさか勝てるとは思っていなかった。表彰台が目標だった」とハータは語るが、まさにそういう戦いを行なった。

 COTAでのインディカーレースが初開催で、ベテラン勢にノウハウというアドバンテージがなかったこと、シーズンオフの合同テストがCOTAで行なわれ、2日間の走り込みを行なうチャンスがあったこと、レース中の路面の変化が少なく、経験がものをいう対応の難しさがなかったことなど、いくつかの要素がハータに味方した。開幕1カ月前に行なわれたテストで、COTAのコースに自分のドライビングがマッチしていると知った彼は、水を得た魚のように走り回り、最速ラップを出していた。

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