鳥羽海渡のMoto3初優勝に奮起。今年の日本人ライダーはひと味違う (5ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 今シーズンのMoto2クラスは、全員に供給されるワンメークエンジンが昨年までのホンダ600ccエンジンからトライアンフ765ccへと変更になった。シャシーサプライヤーの設計も一新されることになり、各チームのマシンセットアップという面でも、ホンダ時代からの応用はできたとしても、まるごとデータを流用できるわけではない。その意味では、全員がある程度横一線からのスタートになる、と言ってもいいだろう。

「Moto2のエンジンがトライアンフにならずホンダのままだったら、全日本に戻ることも考えていたと思う」

 この言葉からもわかるとおり、長島は今シーズンの技術仕様変更を大きなチャンスと考えている。しかし、それは他のライダーたちにとっても同様だろう。

 長島にとって、今のチーム環境をポジティブに活かす材料のひとつは、チャンピオン候補の一角、レミー・ガードナーがチームメイトであることだ。彼が刺激材料となり、また、ガードナーのデータと相互比較をすることで、モチベーションやセットアップ作業のプラス要因とすることができれば、トップテン圏内やそれより上の順位も射程圏に見えてくるだろう。

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 MotoGPクラス2年目を迎える中上貴晶(なかがみ・たかあき/LCR Honda IDEMITSU)は、開幕戦をトップテン圏内の9位で終えた。

 開幕前のインタビューにもあるとおり、中上は2019年シーズンを「ライダー人生の勝負の年」と捉えている。開幕戦の戦いぶりからは、その気迫が十分に感じ取れた。

 フリープラクティスの上位タイム10人がダイレクトに進出する予選Q2を逃したものの、残りの選手で争うQ1で上位2名に入ってQ2への進出を果たした。そのQ2では、一時セッション中に2番手タイムを記録するパフォーマンスを発揮し、存在感をおおいに披露した。

 決勝レースでも、スタート直後から積極的に攻めた。先頭集団の一翼を占める果敢なライディングは、去年には見られなかった姿だ。

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