鳥羽海渡のMoto3初優勝に奮起。今年の日本人ライダーはひと味違う (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 今回の開幕戦でも、その悪循環にハマり込む危惧はけっしてゼロではなかった。だが、それをうまく回避して尻上がりに調子を上げていったのは、なによりも本人の努力とチームのレースウィークマネジメントの成果だが、その背後には青山博一監督の指導のもとに続けてきたメンタル・フィジカル双方のトレーニングの成果があることも見逃せない。

 鳥羽が、今回のリザルトで自信を深めたことは間違いない。次戦のアルゼンチンGPでもこの勢いを維持できれば、2019年は有力ライダーの一角を占めながらシーズンを推移してゆくことになるだろう。

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 今年から鳥羽のチームメイトとしてMoto3クラスのフル参戦デビューを果たした小椋藍(おぐら・あい)は、昨年4戦でワイルドカード参戦を果たした際にも、高いポテンシャルを発揮して注目を集めていた。今回の開幕戦ではルーキーながらトップグループにつけて、11位でチェッカー。

「あのペースでいっぱいいっぱいだったので余力がなく、今日はついていくのが精一杯。何か仕掛けるまでには至りませんでした」と、悔しさのにじむ口調でレースを振り返った。

 鳥羽とは同年齢の18歳で、「海渡は速かったですね。早く逆転できるようにがんばります」と話す口ぶりからも、チームメイトの優勝が小椋にとっていい発奮材料になったことがうかがえる。

 次の2戦、アルゼンチンとテキサスのサーキット・オブ・ジ・アメリカズは初体験の地だけに、ある程度の苦戦も予想される。しかし、第4戦のスペインGP以降は、欧州のCEVレプソル選手権時代に戦い慣れた馴染みのサーキットも多い。その経験や自信が、青山監督も認める度胸のよさとうまく噛み合えば、先頭集団に挑みかかってゆくシーンも何度か見られるかもしれない。

 真崎一輝(まさき・かずき/BOE Skull Rider Mugen Race)と佐々木歩夢(ささき・あゆむ/Petronas Sprinta Racing)も、鳥羽や小椋と同じ18歳。真崎は鳥羽と同郷の九州出身で子ども時代から競い合ってきた間柄で、佐々木は鳥羽と同年の2017年にMoto3クラスへデビューしている。それだけに、今回の結果はともにライバル心を強く刺激されたようだ。

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