今季F1の序列は? 優位のフェラーリに次ぐホンダ、焦るメルセデス (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 よって2019年シーズンは、現時点でフェラーリが先頭にいて開幕を迎えそうである。

 その一方、バルセロナで見えてきたもうひとつの今シーズンの特徴が、中団グループの速さだ。

 総合ベストタイムではルノーのニコ・ヒュルケンベルグがトップから0.622秒差を記録し、そこからトロロッソ・ホンダ勢とマクラーレンのカルロス・サインツが0.1秒以内にひしめいている。レースシミュレーションのタイムを見ると、ハースとアルファロメオが速い。

 昨年は3強とその他が大きく分かれ、1秒以上の差があることも少なくなかった。レースでは完全にふたつのグループに分かれ、同じコース上ではあっても別のカテゴリーのレースが混走しているような状態になっていた。

 しかし、今季は3強と中団グループとの差が小さく、0.5~1秒程度。両者のレースシミュレーションのペースが部分的に重なっている。つまり、レース展開によっては同等のペースで走れる場面が少なくないほど、中団グループが速さを増してきている。その筆頭が、ハースやアルファロメオだ。

 ルノーは本格的なレースシミュレーションを行なっていないために分析が難しいが、バルセロナで淡々と自分たちのテストプログラムに専念してきただけに、メルボルンでは速さを増してくる可能性は十分にある。開幕序盤に大型アップデートを持ち込むというレーシングポイントも、同様にケレン味のないテストで実力を隠していて不気味だ。

 いずれにしても、今年は中団グループ内の争いが激化するだけでなく、3強チームとてミスを犯せば中団グループに逆転されてしまうくらい、"近い場所"での戦いが展開される可能性は高い。そうなれば、昨年はアゼルバイジャンGPのセルジオ・ペレスの1回しかなかった3強以外の表彰台も増えるのかもしれない。アルファロメオに加入したキミ・ライコネンも、速さと経験を武器に活躍しそうだ。

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