今季F1の序列は? 優位のフェラーリに
次ぐホンダ、焦るメルセデス

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 しかし、空力規定が変わった今年はこれが災いした。

 テスト前半で抱えていたバランスの問題が、本番仕様パッケージを投入しても「ダウンフォースは増えたし、基本的なバランスはよくなったけど、まだ大幅なステップが必要」(ボッタス)という状態だった。新空力規定の評価という意味では、メルセデスAMGのアプローチは間違いだったかもしれない。

 燃料搭載量のごまかしがきかない66周を連続周回するレースシミュレーションのタイム推移を見れば、フェラーリとメルセデスAMGの間には0.3~0.5秒ほどのタイム差がある。前出のハミルトンのコメントは、これを元にしたものであることが推察できる。

 フェラーリはどのセクターでも安定して好タイムを記録しているが、メルセデスAMGは中高速コーナーの多いセクター2で苦戦し、低速コーナーの多いセクター3が速い。空力性能が問われる前者ではフェラーリが優るが、メカニカル性能がモノをいう後者ではメルセデスAMGも十分な速さがある。

 ということは、メルセデスAMGが空力面の問題を解決すれば、フェラーリとのギャップを縮めることは不可能ではないということだ。

「低速コーナーの性能は、昨年型よりもいいんだ。マシンバランスの変化のせいで本来の速さが発揮し切れていないけど、伸びしろはいろんなところにあるし、チームが解決してくれると信じている」(ボッタス)

「このクルマには進歩する潜在能力がある。今まででもっとも厳しい戦いになると思うけど、僕らはチャレンジが大好きだ」(ハミルトン)

 そしてレッドブルは、前回のコラムで解説したとおり、フェラーリから0.2~0.3秒の差をつけられている。メルセデスAMGよりもやや前にいそうだが、こちらも空力性能が期待したほど突出したものではなかったことと、2度のクラッシュによるテストプログラムの遅れが気になるところだ。彼らもバルセロナで収集したデータを元に、開幕戦までにどれだけ分析と対策を施してくることができるかが勝負のカギになりそうだ。

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