「いきなり優勝」の現実度。レッドブル・ホンダは速いのか、遅いのか? (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 セクタータイムで見れば、高速コーナーが多いセクター2はあまり速くない。つまり、レッドブル自慢の空力性能はそれほど高くないということだ。「その点は想定外の状況だった」とチーム関係者も漏らしている。それが、両ドライバーの歯切れの悪いコメントにつながっているようだ。

 途中で終わってしまったレースシミュレーションの走り出しのタイムを見れば、フェラーリとのタイム差は0.2~0.3秒ほど。両者ともにマージンを残したタイムではあるだろうが、これが現実的なトップとの差と言えるだろう。

 ホンダは8日間のテストで、レッドブル、トロロッソの両チームともに大きなトラブルもなく、膨大な距離を走り切った。とくに、トロロッソのほうは1基のパワーユニットで2週にわたって走行し、約5レース週末分にあたる距離を走破してみせた。信頼性は十分に確保できていると見ていいだろう。

「必ずやっておかなければいけないことは、ほぼ100%できました。テストで走って出てきた課題がありますから、下方修正して80%くらいの出来のイメージ。日本に帰ってからデータを確認してベンチテストを行ない、(使い方の)アップデートをするという項目が残っています」(田辺テクニカルディレクター)

 このテストで走ったRA619Hの基本仕様はそのままに、細かなアップデートと使い方の面でさらなる熟成を施し、開幕戦のオーストラリアに持ち込む。

 今回のテストで、フリー走行モード、予選モード、決勝モードを使い分け、それらのデータを蓄積してきたという。信頼性を損なわない範囲で、どのくらいのパワーを引き出すモードがどのくらい使えるのか、年間3基で戦うのか、4基もしくは5基を想定してパワー優先で戦うのか。その最終調整を行なうことになる。

 これまでルノー製パワーユニットを搭載していたレッドブルは、あらゆる箇所でトップスピードの伸びがなかった。しかし、今年のテストでのデータを見るかぎり、RB15はライバルたちと同等レベルにまで速度が伸びている。今年のホンダは少なくとも昨年のルノーを大幅に上回っていると、ヴァッシェは語る。

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