「いきなり優勝」の現実度。レッドブル・ホンダは速いのか、遅いのか? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「残念だよ、僕のミスだ。ほんの少し、10cmか15cmだけワイドに入っていってしまった。それでターンインした瞬間、リアを失ったんだ。ものすごく大きな衝撃だったし、僕が今まで経験したなかでもっとも大きなクラッシュのひとつだったと思う」

 昨年スペインGPの土曜フリー走行で、トロロッソ・ホンダのブレンドン・ハートレイが犯したものとまったく同じミスだったが、ダメージは今回のほうがはるかに大きかった。

「先週(のガスリーの事故)よりもひどいダメージでした。去年ハートレイがクラッシュした時のような、(車体に対して)真っ直ぐに力が入る形ではなくて、真っ直ぐと斜めと全部入ってしまったような感じです。ギアボックスをテコにして(増大した)力が加わったので、ギアボックスに(ICE側が)曲げられてしまうような形になったんです」(ホンダ・田辺豊治テクニカルディレクター)

 パワーユニットはテスト第1週2日目のクラッシュで交換し、残り6日間はそれで最後まで走り切る予定だったが、再びここで交換を余儀なくされることとなった。

 しかし、それよりも痛かったのは、マシンの最新空力パーツとギアボックスを失ってしまったことだった。

 レッドブルは、事前ベンチテストの段階からギアボックスにトラブルを抱え、テストが始まってからもマイナートラブルが続いていた。テスト2日目にはレースシミュレーションの途中でフェルスタッペンのギアボックスに問題が起き、第3スティントに入って5周目の段階で走行を断念せざるを得なかった。

 そして、前週のクラッシュに続き、3日目のクラッシュでさらにもう1基を失ってしまった。最終日に向けてチームは夜通しの作業でマシンを修復し、朝9時半にコースへと送り出すことに成功したが、29周を走行した時点で再び問題が発生。パーツはすでに底を突いており、それ以上の修復は不可能だった。

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