元エースの大ベテランがシート喪失。
スーパーGTに世代交代の波

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 今年、本山は日産/ニスモのエグゼクティブアドバイザーに就任。スーパーGT全戦に帯同し、日産系チーム全体のサポートに回ることになった。また、GT500からは引退するが、レーシングドライバーは続けていく意向も明かしている。

 ただ、世代交代が起きているのは日産だけではない。昨年、8年ぶりにGT500王座に輝いたホンダ勢も、新たな一歩を踏み出した。東京オートサロンで発表された2019年のドライバー体制に、ホンダとともに長年歩んできた小暮卓史(こぐれ・たかし/38歳)の名前はなかった。

 2003年に全日本GT選手権のGT500クラスでデビューした小暮は、合計15シーズンにわたってホンダのGT500マシンで戦い続けた。勇猛果敢に攻めまくるアグレッシブなドライビングは人気が高く、「韋駄天・小暮」と呼ばれてファンから愛された。

 とくに、ホンダ・HSV-010で参戦していた2010年から2013年にかけては合計5勝をマークし、2010年にはロイック・デュバルとともに初の年間チャンピオンを獲得。ホンダのエースドライバーとしてライバル陣営から恐れられた。

 昨年のスーパーGTでは開幕戦・岡山で塚越広大とともに勝利を掴み、5年ぶりの美酒を味わった。だが、全盛期の群を抜く速さは影を潜めることが多くなり、今季はホンダのGT500メンバーから外れることになった。今後の去就については明らかになっていないものの、木暮が2019シーズンのスーパーGTに参戦する可能性は、GT300クラスも含めて低い。

 その一方で、レクサス陣営はすでに2、3年前から世代交代が始まっている。本山や小暮とともにスーパーGTの一時代を築いてきた脇阪寿一は、2015シーズン限りで第一線を引退。さらに伊藤大輔も2016シーズン終了とともにフル参戦から離れ、現在はau TOM'Sのチーム監督を務めている。

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