ホンダF1・モータースポーツ部長に聞く。今季優勝できますか? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「当然、去年のパワーのままでは厳しいので、彼らに追いつくためにはパワーアップもしなければならないし、そのなかで信頼性をどう引っ張り上げていけるか、そのかけ算の勝負なんです。(パワーユニット開発の)方向性が去年見えましたけど、MGU-H(※)などは安定してきた反面、ICE(エンジン本体)など他の部分にいくつか問題が出てしまいました。

※MGU-H=Motor Generator Unit-Heatの略。排気ガスから熱エネルギーを回生する装置。

 そういう部分は冬の間にリカバーしたとしても、今年仕様のパワーユニットでパワーが上がれば、それによってこれまで以上の負荷がかかって、予期しない箇所が壊れることもある。ですから、その信頼性をいかに担保していくかという追っかけっこを、今HRD Sakuraが一生懸命やっている状況です」

 レッドブルはF1界で最高レベルの車体を持っている。昨年後半戦、予選ではパワーユニットの予選モードがないために苦戦を強いられたが、決勝のパフォーマンスではパワーユニットの不利を挽回し、2強チームと対等に争う好勝負を何度も演じた。

 走行データやGPSデータ(走行中の位置情報で加速やコーナリング性能が正確にわかる)の分析から、レッドブルは自分たちの車体はラップタイムにして、0.5秒ほどのアドバンテージを持っていると見ているようだ。

 今年もその差が変わらなければ、パワーユニットが0.5秒後れを取っていても、マシンのトータル性能では同等ということになる。レッドブルが目指しているのは、パワーユニットの差をそれよりも小さくし、トータル性能でトップに立つことだ。それができれば、彼らの言うようにチャンピオン獲得も現実的な目標値となる。

 0.5秒といえば、パワー影響が大きいサーキットでも、20kW(約27.2馬力)ほどの差だ。ホンダのパワーユニットが2強に対してそのくらいの差に収まっていれば、勝てるのだ。

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