ホンダF1・モータースポーツ部長を直撃。
新型PUの仕上がりは?

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 昨年終盤戦に投入したRA618Hのスペック3では、パワーは上がったものの信頼性の問題が起きた。だが、それだけ攻めて実戦で検証したからこそ、わかったこともある。

 問題は、今年のパワーユニットでどこまで攻めれば勝てるのか、どこまでリスクを負いつつパワーを優先しなければならないのか――ということだ。

「そこはバルセロナ合同テストの結果を受けてから、開幕戦に向けて話し合います。ホンダにはホンダの考え方があるけど、それをレッドブルの考え方と噛み合わせなければならない。そのミーティングを開幕前にやります。どちらかというと、マルコさんはパワーのほうを期待しているみたいですね、『ヤマモト、信頼性も重要だけど、まずパワーだぞ』と言ってますから(苦笑)」

 もちろん、最初から壊れるとわかっていてレースに出る者はいない。

 しかし、パワーユニットが4戦しか保たなくて年間5基が必要になり、2度の最後尾スタートペナルティを受けたとしても、それ以外のレースでパワフルに戦えるなら、十分に勝ち目がある。レッドブルはそう考えてもいるようだ。

 昨年何度も見せたように、マックス・フェルスタッペンには、後方からのスタートでも抜群のタイヤマネジメントでトップまで挽回してくる腕がある。

「レッドブルのマシンパッケージを考えたとき、車体性能やドライバーの腕でペナルティも十分に挽回できるので、『1基や2基は増えても構わないよ』と言うのなら、それはそれで成立するかもしれない。

 我々が積み上げたデータや考えに対して、最終的にはコンストラクターの意見もリスペクトしたいと思っています。そこは彼らがリードしていくべきだと、僕は思っています」

 2015年にF1に復帰して以来、これまではどこか保守的な面があったホンダだが、今年は違う。レッドブルというエネルギッシュなチームと組み、アグレッシブに攻めていく。彼らにはそれを実現するだけの技術力もある。

 あとは、ホンダがパワーと信頼性をバランスさせたパワーユニットを作りあげ、マシンパッケージとしての『最適解』を導き出すだけだ。

(後編につづく)

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