MotoGP今季初テスト。ドゥカティ上位独占もライバルへの警戒怠らず (2ページ目)

  • 西村章●取材・文・撮影 text & photo by Nishimura Akira

 昨年と一昨年にマルケスとチャンピオンを争い、両シーズンともにランキング2位で終えたドヴィツィオーゾの言葉を聞けば、今回のテストで各陣営がどれほど拮抗していたかということが、さらによくわかる。

「ドゥカティ勢が上位を独占できたのはよかった。自分たちのペースが悪くないということだからね。とは言っても、それでレースの速さが保証されたわけじゃないし、この順位が最終的なリザルトになるわけでもない。

 ホンダについては、ライダーの体調が完璧ではないので、まだ彼らのレベルを語るのは時期尚早だし、ヤマハも去年より確実によくなっている。彼らはきっとシーズン序盤から強いと思う。リンスが速さを発揮していることにも気をつけておきたい」

 この言葉にもあるとおり、ディフェンディングチャンピオンのマルケスは、左肩の脱臼グセを治すために昨年12月に手術を行なった。それ以来、連日午前と午後に2時間半ずつのリハビリを続けながら準備を続けてきたが、まだ完調にはほど遠い状態だ。そのため、今回のテストでは無理をせずに、連日早めに走行を切り上げた。

「第2戦のアルゼンチンで100パーセントの体調に戻すことを目指す」と話すマルケスは、トップから0.931秒差の11番手タイム。3日間を終えて、「手術後最初のテストで、乗り方を忘れていなかったのは自信になった。初日は体調がフレッシュだったので速く走れたけど、日に日に厳しくなってきた。それでもいいペースで締めくくれたのだから、とてもハッピー」と述べた。

 マルケスは、1周のみのタイムアタックでは他の選手たちに一歩譲る順位で、レースを想定したロングランも見送ったが、アベレージタイムでは誰よりも高い安定感を発揮していた。

 また、今回のテストで大きく目を引いたのが、アレックス・リンスの躍進だ。ペトルッチとドヴィツィオーゾの言葉にもあるとおり、リンスは非常にハイレベルなテスト内容で、初日と2日目に連続して2番手タイムを記録した。3日目は総合12番手と、見た目は低い位置に落ち着いたが、アベレージタイムで見るかぎり、マルケスに匹敵する安定感を発揮している。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る