F1も世代交代の波。フェラーリ加入の
21歳がベッテルに引導を渡す?

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 2019年も改革はさらに推し進められることになるだろうが、グリッドガールの復活だけはなさそうである。とはいっても、すでに各グランプリは「各グリッドに立たない」「男女混成」という形で類することをやっており、2019年にそれがどこまで拡大するのかも期待したいところだ。

(10)F1のチャンスを掴む日本人ドライバーは登場するのか?

 今季もF1に参戦する日本人ドライバーはいないが、F1のチャンスを掴む可能性のあるドライバーはいる。

 FIA F2に参戦する松下信治(まるした・のぶはる/25歳)は以前のコラムで紹介したように、夢をあきらめずに自力で再挑戦のチャンスを掴み取った。カーリンという名門チームに乗り、ランキング4位以内に入ればスーパーライセンス取得の要件を満たす。その思いの強さと行動力、そしてヨーロッパで戦っていくためのメンタリティという意味では、現状で松下に並ぶ日本人ドライバーはいないだろう。

 過去3年間の挑戦ではエンジニアが離脱し、チームの弱体化が進んでいたARTグランプリで苦戦を強いられた。だが、かつてのチームメイトは3人全員がF1に辿り着いたように実力者ばかりで、ヨーロッパでは松下の速さも高く評価されている。ようやく戦える場が手に入った松下は、今年こそやってくれるに違いない。

 FIA F3(旧GP3)に参戦する角田裕毅(つのだ・ゆうき/18歳)と名取鉄平(なとり・てっぺい/18歳)は、160馬力のFIA F4からリージョナルF3を飛ばし、380馬力のFIA F3へ1級飛びの昇格を果たした。よって最初は、苦戦を強いられるかもしれない。経験のないヨーロッパのサーキットとピレリタイヤを使い、走行時間の少ないFIA F3を素早く習熟するのは容易ではないからだ。

 角田は旧F3マシンでのテストでレッドブル陣営をうならせ、日本人としては初のレッドブルジュニアドライバー入りを果たした。フォーミュラ・ヨーロピアン・マスターズ(旧ユーロF3)にも並行して参戦し、経験値を蓄積していくつもりだ。ランキング2位以内に入ればスーパーライセンスが取得できるが、イェンツァーという中堅チームで初年度どこまで戦えるか。

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