F1注目ポイント10選。ハミルトン6冠でシューマッハの記録に王手? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 ハミルトン最大のライバルでもあるセバスチャン・ベッテルは、フェラーリの組織的な弱さに加え、昨年の中盤戦以降はチーム内の権力闘争にも巻き込まれ、勢いを削ぐ結果となった。その後れを取り戻そうと、焦ってオーバードライブしてミスを犯すという負のスパイラルに陥ってしまった。

 さらに今年は、シャルル・ルクレールという若くて活きのいいドライバーをチームメイトに迎え、まずはチーム内での争いを制しなければタイトル争いもままならない。いわば、内憂外患の状態だ。

 一方、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は昨年序盤にトラブルと自身のミスでチャンスを失い、さらに僚友ダニエル・リカルドにも先を越されたことで焦りが先行して空回りするレースが続いた。しかし、オーストリアGPで優勝を収めてからは落ち着きを取り戻して本来の速さが戻り、シーズン後半戦はタイヤマネージメント能力をメキメキと伸ばして、決勝で常に上位争いに加わる強さも見せた。

 レッドブルがタッグを組むホンダの性能と信頼性によっては、フェルスタッペンがタイトル争いに絡んでくることも十分にあり得るだろう。ただしそのためには、昨年ブラジルGPで犯した周回遅れと接触したようなミスは致命的となる。大きなゴールに辿り着くためには目の前の感情やプライドよりも大切なものがある、ということを学ばなければならない。

 そのふたつの条件が揃えば、昨年達成できなかった史上最年少王者記録の更新は果たされる。フェルスタッペンにとっては、2019年がその最後のチャンスだ。

 総じていえば、2019年も3強チームによる三つ巴の勢力図が続くのであれば、その中で頭ひとつ抜け出す速さと強さを兼ね備えているのは、やはりハミルトンだ。彼が6度目のタイトルを獲得し、ミハエル・シューマッハの持つ7冠という世界記録にまた一歩近づくことは間違いないだろう。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る