挑戦してわかった。スーパーカブで
時速200km出すのは超タイヘン

  • text by Sportiva
  • photo by SMC

──実際にマシンを製作し、ボンネビルに遠征してみてわかったことを教えてください。まずはエンジンから。

「NSX-01に搭載したのは、カブ系の125cc空冷4ストロークをベースに組み上げた、俗に言うスーパーヘッドエンジンです。チューニングは実績のあるデイトナさん、スペシャルパーツ武川さん両社の協力のもと、SOHC4バルブヘッド、乾式クラッチ、スーパーストリート5速ミッションなど、このチャレンジにベストと思われる仕様で組み上げました。これにミクニのダウンドラフト・キャブ、特注でつくった超高速用スプロケットなどを組み合わせて、直前のロサンゼルス・USヨシムラでのベンチテストでは200km/hオーバーも計測したのですが......」

──実際に走ってみると何か問題があったのでしょうか。

「会場のボンネビル・ソルトフラッツ・インターナショナル・スピードウェイは、どこまでも続く干上がった塩湖の平原です。標高1200mにありながら夏場の最高気温は40度に迫り、湿度は10パーセント以下とカラッカラ。美しい夜明けに見とれていたら、まだ早朝なのに『あんたたち、早く日焼け止めを塗らないとヤケドするわよ』と現地ボランティアのおばちゃんに叱られるくらい現実離れしたところなんです。

 そのため、現地でのキャブレターのセッティングは難解をきわめました。高回転域での"息つき"に悩まされて、初日から最終日まで試行錯誤の繰り返し。夜明け頃の気温は13度でも、正午には38度に上昇している。『これだ!』と思ったセッティングがすぐに通用しなくなってしまい、過酷な気象条件には最後まで翻弄されましたね」

加工技術を駆使してフレームにエンジンをマウント加工技術を駆使してフレームにエンジンをマウント

──車体のほうは、思ったとおりの仕上がりになりましたか。

「スーパーカブの鉄フレームでは重く、車高も高すぎるので、ホンダの歴代125ccロードレーサー中、最も車高が低いRS125N4のフレームをベースにしました。これにカブのエンジンや補機類を積めるようなマウントを製作し、頭を低く伏せられるようアルミ製ガソリンタンクの上面を5cm削っています。さらに前面投影面積を小さくするため、ハンドル位置を20cm下げ、切れ角をレギュレーションギリギリの20度までたたみ込みました。

 フロントフォークを突き出し、リアサスもカットして車高を限界ギリギリまで下げる。凸凹の激しい塩の路面で追従性を上げるためフロントブレーキを取り払い、ステムシャフトの材質をクロモリから超軽量のチタンに変更。これらの工程では、精密金属加工の高い技術を持つヒューテックさん、ヒルトップさんが腕をふるってくれました」

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