要件を満たすだけでは不十分。日本人F1ドライバー誕生への高い壁 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 その一方で、マイアミ市街地での開催計画は地元の反対を受けて事実上の白紙撤回とするなど、リバティメディアが進めようとしている開催計画は順調とは言えない部分もある。

 すでに年間25戦開催という構図を視野に入れ始めており、そのためには一部のグランプリを除き、ほとんどを土日の2日間開催としてチームスタッフの負担を減らすなどといった方策が話し合われている。

 2019年も同じく21戦で、開催時期の変更もなし。チーム側からの反対が多かった3週連続開催は回避されることになったが、カレンダー再編は実質的に先送りとなっている。

(9)リバティメディアのF1改革、いよいよ本格化か? → 【結果】△

 F1を買収して2年目を迎えた2018年は、リバティメディアが本格的なF1改革を断行するのではないかと予想した。だが、改革と言えるほどの変化が果たされたかというと、そうではなかった。とくに「中身」の部分には、手が及びきらなかったと言うべきだろう。

 ロゴ刷新やテーマソング導入、オープニング映像やテロップといったテレビ放送の改善、映像素材やSNSをはじめとしたプロモーション面では、かなり手が加えられた。

 しかし、レースそのものの改革は、予想に反してあまり進まなかった。

 決勝スタート時刻はヨーロッパでのテレビ放送時間帯を意識して原則午後3時10分となったが、それが視聴率の向上に大きな効果を果たしたという話は聞こえていない。2020年以降に向けて、カレンダーの拡大と開催スケジュールの変更も視野に入れた議論が始まっているようだが、今のところ明確な方向性が見いだせていない。

 バーニー・エクレストンが統括していた時は、よくも悪くも独断専行で、予選方式をガラリと変えることができ、チーム側もエクレストンの決断には従ってきた。しかし、リバティメディアが統括するようになってからは明確なリーダーシップがなく、チーム側も含めた合議制のような形になった。それゆえ、各チームの利益が相反する事柄に関しては、結論に至るまでのプロセスが冗長になりがちだ。

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