2輪もジェットも。ホンダF1、2018年体制は全社挙げての総力戦だった (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「エンジニアとしての勘やセンス。私がヤバいなと思っていると、浅木も同じように思っていたり、『これはいいんじゃない? じゃあ、いっちゃおう!』みたいな。そういうメリハリや優先順位のつけ方が、現場側としてストレスなくできていますね。さっきの御神輿の話で言えば、私が『この辺が弱いんじゃないですか?』と言えば、浅木からも『ここは今、進めてるから大丈夫だよ』という答えが返ってくるので、私も安心できるというわけです」

 こうしてホンダとしての意思を統一し、トロロッソ側とコミュニケーションを取る。開発はHRD Sakuraが、現場運営はHRD UKがそれぞれトロロッソとコミュニケーションし、良好な関係を築いていった。田辺テクニカルディレクターはトロロッソとの関係構築の過程をこう振り返る。

「お互いに初めましてのところから『どう仕事をしようか』となったときに、トロロッソのあらゆる人たちが『何でも言ってくれよ』と言ってくれて、お互いに要望を出し合って最適な方法を見出せたんです。

 それぞれの仕事の進め方など、最初はわからないことも多かったですけど、お互いに『オープンマインドでやりましょう』ということを最初に決めていましたから、わからないことがあればお互いに聞きました。そのなかでうまくいったことも失敗したこともありましたけど、そのたびに『なぜうまくいったのか』『なぜ失敗したのか』をしっかりと学びながら、いい関係を築いてこられた。それが、過去3年間と違ったところだと思います」

 トロロッソとホンダの関係はお互いに忌憚(きたん)のない良好なものとなり、ホンダの内部ではこれまで眠っていた猛獣が活発に動き出せる環境が整った。現場も安心して御神輿に乗って、HRD Sakuraから送られてきたものを扱えるようになった。

 これこそが4年目にしてようやく辿り着くことができた、ホンダF1「第5期」の体制だったのだ。

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