「第5期」F1ホンダを考察。パワーはルノーを抜いた。しかし信頼性は? (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 我々はそこから3、4年は後れたところからスタートしているわけで、彼らに追いつくためには相当な努力が必要です。むしろ(実際には追いついているのだから)相当速いスピードで前進しているのかもしれない。でも、まだ時間は必要だし、そのくらいハードルが高いということです」

 レッドブルのチーフテクニカルオフィサーとして開発指揮を採るピエール・ヴァシェは、「現状ではルノーに比べて大幅に上回っているというわけではないが、来年は確実にさらによくなる。プッシュしているからこそ壊れるのだし、来年壊れるよりも今ここで壊れて、来年に向けて学んで直すほうが余程いい。心配はしていないよ」と、ホンダに対する期待値を語る。

「第5期」のスタートを切ったホンダは、この1年で大きく成長した。

 性能面でも信頼面でも着実に進歩を遂げたが、最大の成長は「目に見えない部分」だ。次なる飛躍に向けて、その土台固めができた。山本モータースポーツ部長は言う。

「過去の3年間は『毎年がリセット』のようなもので、『何を翌年に持って行けるんだ?』ということの繰り返しでした。僕の肌感で言えば、今年はそういうところのレベルが違うんです。来年の開幕前テストに向けて緊張感もプレッシャーも不安もありますけど、そういう流れのなかでここまでやってきているからこそ、楽しめちゃうんじゃないかという感覚がある」

 1年前とは、ホンダを取り巻く状況はまったく違うと言う。

「去年の10月ごろは光の見えない状況で、『楽しい』なんていう言葉は出てこなかったし、僕も『ホンダはF1でどうしていけばいいんだろう』と思っている状況でした。『今年は次に向けた成熟のステップが歩めた』と今だから言えるけど、あの時はトロロッソと組んだばかりで、そんなことが言えるような状況じゃなかった。

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