「第5期」F1ホンダを考察。パワーはルノーを抜いた。しかし信頼性は? (3ページ目)
ホンダの田辺テクニカルディレクターはこう語る。
「よくなったとはいえ、ちらほらとトラブルを出しています。やっぱり足りていないんです。トップチームを見れば、とくにメルセデスAMGはボロが出ませんよね。ヤバいときがあっても走り切ってしまう。
開発や耐久確認がきちんとできているからだと思うし、そういう意味で我々はまだまだすべてに目が行き届いていない。予算だけではなく、レースエンジンに対する個々の人間のスキルや、ノウハウの蓄積、そのぶんの厚さと時間ですね。その差が出ているんだと思います」
スペック3は第16戦・ロシアGPに投入したものの。想定外のオシレーション(シフトアップ時の回転数振動)が出て実戦使用を断念し、続く第17戦・日本GPでも同様の問題に苦しみながら3日間使用したところ、レース後の検査で想定以上のダメージを負っていたことがわかった。
第18戦・アメリカGPに新品を投入したが、次の高地メキシコではスペック2を使い、なおかつブラジルとアブダビまでの3戦で、金曜の走行を避ける安全策を採ったにもかかわらず、アブダビでトラブルが出てしまった。
残り数戦で実戦テストをするため、かなり強引にスペック3を投入したためでもあるが、オシレーションやICE(エンジン本体)へのダメージを実走で確認できたことで、来季型ではそのノウハウを生かして耐久性を確保した状態でスタートを切ることができる。
その差は、ある意味では時間の差だと、山本雅史モータースポーツ部長は語る。
2013年春に開発を開始したホンダと、先行メーカーとの間には大きな時間の開きがあった。しかし、その差は着実に埋まりつつある。
「人の技術力が足りないとか、体制がよくないとかではなくて、絶対的に時間が足りない。今、HRD Sakuraでダイナモを回している時間は他の3メーカーに全然引けを取らないくらいだけど、メルセデスAMGやフェラーリは今のレギュレーションを作るところからやっていて、なおかつ何年間もレースをしてきている。
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