「第5期」F1ホンダを考察。パワーはルノーを抜いた。しかし信頼性は? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 この性能向上幅は大きかった。

「パワーも信頼性もそう簡単に上がるわけではないのですが、今年のスタートポイントから考えると、カナダのアップデートに比べて最新スペック(スペック3)はもう少し高いステップで上がれたと思います。それは(あらゆる部署のノウハウを注ぎ込んで)本田技術研究所が総動員で開発した結果ですし、非常にポジティブな状況にあると思っています」(ホンダ・田辺豊治テクニカルディレクター)

 トロロッソのジョナサン・エドルス(チーフレースエンジニア)もスペック3を高く評価し、「スペック2ならQ1敗退だったが、スペック3ならQ3に進める計算になる」と言う。

 路面の向上シロを勘案して計算すると、その差はオースティン(第18戦・アメリカGP)の予選で最低でも0.4秒程度。「シーズン中のアップグレードとしては、かなり大きな部類に入る」とホンダ関係者も語る。

 パワー面では、これでルノーを追い越した。

 だが、気がかりなのは信頼性だ。

「年間8基」という規定を大幅に上回る使用基数は、予選で下位に沈んだ際やクラッシュの際に念のため新品を投入し、プールするという手法を採ったためにかさんだもので、その数だけ壊れたというわけではない。トラブルで壊れたのは、ブレンドン・ハートレイ車1基、ピエール・ガスリー車3基のみだ。

 しかし、そもそもメルセデスAMGやフェラーリは、ワークスもカスタマーも基本的に年間3基でしっかりと運用している。4基使用したのは、オーストリアでハイドロ系トラブルに見舞われたバルテリ・ボッタス(メルセデスAMG)と、イタリアでクラッシュしたマーカス・エリクソン(ザウバー)のみ。

 2強メーカーはハードウェアの信頼性においても、ソフトウェア運用面においても完璧で、そもそもホンダのような"ストック作り"など必要なかった。それに比べれば、ホンダの信頼性はまだまだだったと言わざるを得ない。

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