「ゴーン逮捕」に揺れる日産。スーパーGTで聖域を設けず雪辱を期す (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 シーズン後半、日産は大幅なテコ入れを行ない、その結果、最終戦で23号車がポール・トゥ・ウィンを飾る。最後の最後でなんとか勝利を掴み、日産は面目を保った。

 そして迎えた2018年。昨シーズンの反省を踏まえ、日産は改良可能なパーツをすべて見直した2018年モデルのGT-Rを登場させた。規定によって改良範囲が限られているにもかかわらず、それはひと目見ただけで「昨年とは大きく違う」と感じるほどの手の入れようだった。

 だが、いざフタを開けてみれば、参戦した4台の日産GT-Rが表彰台を獲得したのは2回のみ。第2戦・富士でナンバー23のMOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が優勝したのと、第6戦・スポーツランドSUGOでナンバー12のカルソニックIMPUL GT-R(佐々木大樹/ヤン・マーデンボロー)が3位に入っただけだ。

 数年前は、シーズンで4、5勝するのが当たり前だった。そのころと比べると、スーパーGTでの日産の立ち位置は大きく変わってしまったのである。

 今季のレースを振り返ると、日産GT-Rが有利かと思われていた夏場の富士ラウンドで、まさかの敗戦を喫したのが痛かった。

 第5戦・富士の予選ではワンツー独占をはじめ、日産勢4台がトップ5に入る速さを披露。決勝レースの前半もライバルをリードする展開を見せていた。

 ところが、レース途中から想定外の展開となる。まず、ミシュランタイヤを装着する23号車とナンバー3のCRAFTSPORTS MOTUL GT-R(本山哲/千代勝正)のペースが一向に上がらない。タイヤの消耗が想定以上に激しかったからだ。さらに3号車はトラブルが発生し、戦線脱落を余儀なくされる。

 さらに、レース後半にトップに立った12号車にも不運が連鎖する。十分なリードを持った状態で最終スティントを迎えたのだが、まさかのマシントラブルに見舞われスローダウン。ピットでの応急処置で復活はできたが、優勝争いから脱落することになった。

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