ミッション・インポッシブルに挑むホンダ。
「ランキング8位を奪還せよ」

  • 米家峰起●取材・文・撮影 text & photo by Yoneya Mineoki

 それをうまく使いこなすことで、リアタイヤへの負荷を減らしてうまいタイヤマネジメントで速いレースペースを刻むことができるのだ。

 リアタイヤに負荷のかかるブラジルでは、それがうまくいかなかった。そしてアブダビは、最終セクターが低速のストップ&ゴーであり、リアタイヤに負荷がかかるだけに、その問題が再発するようでは中団グループのトップなど望みようがない。

 ブラジルGP後のデータ解析により、チームはその問題をしっかりと究明してきたという。ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターはこう説明する。

「チームとしても、予選ペースと決勝ペースの差を気にして、空力面・メカニカル面のセッティングをどのあたりに合わせ込むべきか、見直してきました。前回は、予選はよかったけど決勝はイマイチでしたから、それを解析していろいろと学べた。ですから、ストレート2本にもうまく対処しつつ、ロングランでも最終セクターの低速区間でタイヤを壊さず、うまくいけるんじゃないかと期待しています」

 コンストラクターズランキング8位を奪還するために、中団グループのトップに立つことができるかどうか。そして、ザウバーとの間に他の1台が入ってくれるかどうか。

 それらは「ライバルの実力がどの程度のものか」という相対的な指標によって決まることであって、ある意味でトロロッソ・ホンダの力ではどうすることもできない側面もある。

 トロロッソ・ホンダにここで求められるのは、新型空力パッケージとスペック3パワーユニットのポテンシャルをフルに引き出すことだ。自分たちが実力を出し切りさえすれば、あとは運を天に任せるより他はない。ミッション・インポッシブルは果たされるか――。

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