2018.11.20

エアレース・室屋義秀が振り返る今季。
「勝負運をどうつかむかが重要」

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

最終戦は好タイムを出すも5位。今季は表彰台の頂上が遠かった photo by Samo Vidic/Red Bull Content Pool最終戦は好タイムを出すも5位。今季は表彰台の頂上が遠かった photo by Samo Vidic/Red Bull Content Pool ――今度は機体の改造についてうかがいます。室屋さんは以前、アグレッシブにいろんなことをやりすぎてもよくないという話をしていたことがあります。その点について、今季はどうだったのでしょうか。

「今季はやりすぎでしょうね。やること自体は悪くないけれど、投入するまでのテスト時間に無理があった。もうちょっとテストしてから投入しないとダメですね。操縦感覚の違いだとか、多少の変化はパイロット側で対応できるだろうと思っていましたが、そんなに甘くなかったです」

――やはり思い出されるのは、千葉での第3戦を前に小さな尾翼を投入しながら、すぐに元の大きな尾翼に戻さざるをえなくなったことです。あれが、今季の悪い流れを決定づけるひとつのポイントだったように感じてしまいます。

「自分の能力を過信していたところもありましたね。尾翼が小さくなってもコントロールできると思ったんですけど、そこまでは無理だったという感じです」

――結果的に、今季の流れを左右すると同時に、千葉戦3連覇という偉業達成も逃しました。

「確かに結果としては失敗でしたが、こういうチームの進め方は決して悪くないと思っているし、自分自身は嫌いじゃない。新しいテクノロジーとか新しい部品にチャレンジして、それがうまくいけば、かなり速くなるのも確かなので。ただし、あの尾翼に関しては、今のエアレースでトップの機体を持っているチームが、そこまでのギャンブルをする必要はなかったかなという反省はあります。ジャンプアップして、一気に他を引き離そうという気持ちが強すぎたのかもしれません」

――何をどのタイミングで投入するのか。あるいは、しないのか。そのさじ加減が難しい。

「そうですね。常に研究はしていなければいけないですけど、全体の流れとか、運気が悪いときに挑戦すると、うまくいかないんでしょうね。苦しいときこそじっと我慢して、裏側で研究や努力を積み重ねていくことが必要なんだと痛感しました」

――年間総合での連覇を成し遂げなければならないという焦りが、多少無理をさせたのでしょうか。

「必要以上にいかせたというのはあるんじゃないですかね。さっきも話したように、アブダビの後くらいからちょっと苦しい雰囲気があるなかで、やっぱり苦しいときほど、楽をしてパッと抜け出したい心情になるものなので。それがちょっと行き過ぎたところがあると思います。実際、昨季も一度は苦しい状況に追い込まれながら、ラスト2戦で連勝して世界チャンピオンになって、そのときの雰囲気を知っているだけに、早くこの状況を抜け出してしまいたいという焦りがあったのかなと思います」