トロロッソ、原因不明のスローペース。
ギャンブルも失敗して散々な週末

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 トラフィックのなかで走ったり、タイヤを労るためにペースを抑えて走ったりすれば、そのぶんだけ燃料消費量を抑えることができて105kgも必要としない。それは雨の場合も同様だ。燃料搭載量が10kg軽い状態で走ればラップタイムは0.3秒ほど速くなるうえ、レース序盤のタイヤへの負荷も減るのだから、リフト&コーストで燃費をセーブしてでも、結果的にそのほうが速く走り切ることができる。たとえば、昨年のブラジルGP完走車で最少燃料消費量は96.3kgだった。

 しかし、今回のトロロッソ・ホンダの場合は雨を期待していたことと、レース前半は集団のなかで走ると想定していたガスリーが前についていけなかったため、燃費はさらに厳しくなってしまった。

「想定がちょっと外れたんです。朝の段階では雨が降ると言っていたので(燃料搭載量を減らしたものの)、それが外れてしまいました。レース全体の流れが若干外れた結果、ロングランペースがよくないから後ろから突っつかれて戦わざるを得なかったり、想定以上にフリーエアで走ることになったり。まぁ、それも含めて戦略ですが......」(ホンダ・田辺豊治テクニカルディレクター)

 そのままでは勝負にならないことがわかっていたからこそのリスクテイクであり、そのギャンブルに敗れたというのが実際のところだった。

 ただし、今季最高の状態で臨んだはずのブラジルGPで純粋なパフォーマンスを欠いたことは、しっかりと究明しなければならない。ガスリーは言う。

「正直言って、現段階では明確な答えは持ち合わせていないよ。これからデータを分析しなければならない。最終コーナーからの立ち上がりが上り坂になっていたり、パワーセンシティビティが高いサーキットであったことは確かだけど、予選パフォーマンスはすごくよかったんだから、そう単純な話ではないと思う。決勝パフォーマンスがこんなにプアだったのがなぜなのか......」

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