トロロッソ、原因不明のスローペース。
ギャンブルも失敗して散々な週末

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 彼らはストレートがすごく速く、コーナーは遅くてラップタイムが同じでも、タイヤにかかる負荷は小さい。長いスティントになれば、その差はとても大きくなる。ストレートが速ければ、セットアップ面でどっちに振るかの自由度も大きくなるしね。実際に僕らもダウンフォースを削ってはみたけど、コーナーでマシンがスライドして、デグラデーション(性能低下)が大きくなってしまったんだ」

 しかし、非力なルノー製パワーユニットを搭載するレッドブルが予選ではメルセデスAMG勢やフェラーリ勢に敵わなくても、タイヤマネージメントとレースペースで彼らを逆転する速さを見せたことを考えれば、ガスリーの推測は必ずしも正しいとは言えないかもしれない。

 もうひとつ、ストレートエンドの車速差がルノーのカルロス・サインツと「25km/hもあった」とガスリーは語ったが、常にその差があったわけではない。

 では、いつ、どういう状況でその差が生じたのかというと、リフト&コースト(※)をしている時だ。

※リフト&コースト=ドライバーがアクセルをオフにして惰性でクルマを走らせること。

 実は、トロロッソ・ホンダ勢はレースのかなり早い段階から、各ストレートエンドで「1秒のリフトオフ」を余儀なくされていた。その後、レース中盤には「さらにあと1秒」、最終的には「2.5秒」のリフトオフ指示が出された。「想定以上に燃費が厳しかったからだ」と、ガスリーは言う。

 そうなってしまったのは、ホンダ製パワーユニットの燃費がメルセデスAMGやフェラーリに劣っているというだけではなく、チームがレース途中の雨を見越して規定最大量の105kgよりも少ない燃料しか搭載していなかったことが大きく影響したようだ。

 もちろん、それは戦略として多くのチームが採っている手法でもある。

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