標高は富士山5合目。ホンダは旧型エンジンで高地対応できるか? (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文・撮影 text & photo by Yoneya Mineoki

 なかには他よりも大きくパフォーマンスを失うエンジンもあるだろうし、冷却面で厳しくなるから、その影響も出てくる。ブレーキの冷却も通常以上に求められる。エンジニアが対処すべき要素が非常に多いから、興味深いね。エンジニアたちが高地に対してしっかりと対応できれば、コンペティティブな走りができるし、チャンスがあると思うよ」(ブレンドン・ハートレイ)

 ただし、アメリカGPで投入したスペック3改のうち、ピエール・ガスリー車のほうは同じ時期に製造された個体がベンチ上で壊れ、同じ問題をはらんでいる可能性があるため、ここでは新品を投入して残り2戦に向けてストックを作っておくことになった。そのため、ガスリーは最後尾からのスタートを強いられる。

 田辺テクニカルディレクターによれば、「モノによってはかなり早い段階で壊れ、もう1戦決勝を走り切れるかどうかというレベル」だといい、そのリスクは避けた格好だ。

 ハートレイはペナルティを免れたが、本来の計画よりも前倒しで投入したスペック3は未完成な部分もあり、メキシコGPの特殊なコンディションに対するセッティングを行なう余裕がないため、ホンダは2台ともに熟知したスペック2で戦うことを決めた。

 トロロッソのジョナサン・エドルスによれば、スペック3とスペック2の差は、「予選Q3進出と17位に終わるくらいの差」だといい、かなり大きい。前述のとおりフルパワーで走れないメキシコでは、それよりも差が小さくなるとはいえ、スペック2では厳しい戦いを強いられることになるだろう。

 アメリカGP後に報じたスペック3のマイレージ問題に加えて、メキシコでは高地に対する対応という点でも、メキシコシティの標高の影響を受けてしまった。

 チームによってさまざまな事情を抱えながら、メキシコシティの特殊なレースが幕を開く。

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