標高は富士山5合目。ホンダは旧型エンジンで高地対応できるか? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文・撮影 text & photo by Yoneya Mineoki

 2250mという標高の高さと気圧の低さは、パワーユニットにも影響を与える。

 空気が薄ければ、エンジンに取り込まれる酸素量が減り、燃焼によって発生するパワーが減る。自然吸気エンジンの場合は、22%という気圧の低さがそのまま22%のパワーダウンにつながるが、今のパワーユニットはターボ付きなので、ターボチャジャーで空気を圧縮してやれば、気圧の低さはカバーできる。

「ただし、そのためにはターボの回転数を上げなければなりませんし、それには制約がある。それだけでなく、ターボに関連するさまざまな部分にも影響が出る。そういった制約を考えていくと、通常どおりのパワーを取り戻すところまではいかない、というのが現実です」(ホンダ・田辺豊治テクニカルディレクター)

 現状では、レッドブルが使用するルノーはメルセデスAMGやフェラーリと比べて大きくパワーで劣っており、普通のサーキットでは歯が立たない。しかし、どのパワーユニットもフルパワーが発揮できないメキシコではその差が小さくなるため、レッドブルにとってはこれも追い風になる。

「パワーユニット面でみんながフルパワーで走ることができないから、そのぶんだけパワー差が圧縮されるんだ」(リカルド)

「標高のおかげでエンジンの差は少し小さくなるだろう。メルセデスAMGやフェラーリにとっても楽ではないだろうからね。予選でトップに立てるチャンスがあるとは思っていないけど、決勝ではいい戦いができると思う。オースティン(アメリカGP)よりもいいレースになるはずだ。僕らにとっては間違いなく、このメキシコGPがシーズン終盤戦で最大のチャンスだよ」(フェルスタッペン)

 ルノーは昨年、このメキシコの標高にうまく対応できず、もっとも負荷のかかるターボにトラブルが続発し、大幅にパフォーマンスを抑えた走りをしなければならなかった。昨年はレッドブルのフェルスタッペンがルイス・ハミルトンとセバスチャン・ベッテルのタイトル争いの隙をぬって優勝できたものの、今年はこのような問題は起きないという。

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