ホンダのパワーユニット、衝撃の事実。スペック3は耐久性が低かった (3ページ目)
パワーが向上しているのは、たしかだ。しかしその反面、スペック3は保たない。
アメリカGPに持ち込んだスペック3改にしても、鈴鹿で使用したICEがもう使えないガスリーは金曜から投入したが、ハートレイは1日引っ張って土曜日からの投入とした。
「残り4戦で最大限にパフォーマンスを発揮するためのやりくりです」
田辺テクニカルディレクターはそう説明するが、裏返せばそれは、「スペック3改でもフルに4戦を保たせるのは苦しい」ということになる。
当初はもちろん、第16戦・ロシアGPから最終戦まで、6戦をフルに戦えるつもりで設計されたものだ。しかし、ホンダ関係者によれば、「実際に走ってみるとスペック3のダメージは想定以上で、マイレージはかなり厳しい」という。
アメリカGP以降の4戦でさえ、「(ストックされている)旧スペックも含めて、どういう形でやりくりしていくのがいいか、ということをチームと相談して決めた」(田辺テクニカルディレクター)といい、スペック3改だけで走り切ることは難しそうだ。
つまり、現状のルノーを上回るパワーというのは、信頼性を犠牲にしたうえに成り立っているものであって、イコールコンディションで比較した本来の力ではない。
年間3基で賄(まかな)うことを前提に、7戦保つメルセデスAMGやフェラーリのパワーユニットと比べて、4戦も保たないようなホンダのパワーが及んでいないというのは、実は深刻なことだ。彼らが4戦しか保たなくてもよいパワーユニットを作れば、おそらくもっとアグレッシブな使い方でパワーを絞り出してくるだろう。
「ルノーに比べていい進歩が果たせたとはいえ、まだメルセデスAMGやフェラーリに比べて遅れを取っていることは確かなんだから、この現状に興奮するというわけにもいかないよ」
ガスリーはスペック3のパフォーマンスについてそう語っていたが、メルセデスAMGやフェラーリとの差はまだまだ見た目以上に大きいということになる。
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