マルケスが25歳で5度目の戴冠。ドゥーハンに並び、ロッシを上回った (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 このふたりは、最終ラップの最終コーナー立ち上がりまで続く激しいバトルを、これまでに何度も繰り広げている。昨年のもてぎでも、雨の中で激しい接近戦を続け、最後はドヴィツィオーゾが制した。

 土曜予選までの推移を見れば、やはり皆の事前予想どおりに、今年のもてぎもこの両雄が真っ正面からぶつかり合う気配が非常に濃厚だった。そして日曜午後の決勝レースは、まったくそのとおりに推移した。

 午後2時にスタートした全24周のレースは、周回ごとに緊張感を高めながら終盤へと向かっていった。だが、23周目の後半セクション、バックストレート手前のヘアピンでドヴィツィオーゾが転倒し、勝負は決した。

 マルケスがホンダのホームコースであるツインリンクもてぎでチャンピオンを確定させたのは、2014年と2016年に続き、今回が3回目となる。日本GPはシーズン終盤戦に開催されるために、チャンピオン争いの天王山となるのは、ある意味では当然の成り行きともいえる。

 だが、そのチャンスを逃さずにきっちりとものにする彼の強さは、「運」や「流れ」などの漠然とした偶然性とは明らかに異なる、強靱な意志と覚悟、そして周到な準備に裏打ちされたものであることは、彼が発するさまざまな言葉の端々からもうかがえる。

 ともあれ、今年もチャンピオンを獲得したことで、ツインリンクもてぎに何か縁のようなものを感じるのか、それともシーズン終盤戦ゆえの単なる偶然の帰結と割り切っているのか。そんな質問を投げかけてみた。

「(ホンダから)もっと予算をもらうためだよ!」と、マルケスは軽くジョークを飛ばし、こう続けた。

「どうしてここでチャンピオンを何回も獲れるのかはわからないけど、ホンダの皆はそれを祈ってくれるし、日本のスタッフたちもとても喜んでくれている。

 今日は、朝のウォームアップのあとに社長が来て、『今日は決めてくれるね』と言われたんだ。『あ......わかりました』と返事したんだけど(笑)、そのあと、エミリオ(・アルサモラ/マルケスのマネージャー)とアルベルト(・プーチ/チーム監督)がやってきて、『普通でいいんだからな、普通で。気にするな』と慌てて言いに来たよ。

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