小林可夢偉はあきらめない。攻めの一手で2年ぶりのWEC優勝 (3ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 それでも、『お願いだからスリックに交換してくれ!』と何度も言って......。太陽の光が差し込んできたので、絶対にすぐ(路面が)乾くと思いましたから。交換直後は我慢が必要ですが、絶対にウェットタイヤよりも速く走れる自信がありました」(可夢偉)

 7号車は10周目にピットインし、いち早くスリックタイヤに交換。するとその後、後続マシンのアクシデントによってセーフティカーが導入され、8号車との間隔が一気に縮まるという展開となる。たちまちレースの流れが一変し、7号車はトップにまで上り詰めた。

 その後、ゴールまで残り30分のところで、可夢偉がふたたび乗り込みアンカーを担当。WECでは2年ぶりとなる優勝を飾った。

 これまでライバルの8号車に一歩及ばないレースが続いてきたが、ようやく実力で相手を上回るレースができた――。表彰台で満面の笑みを見せた可夢偉は、富士のレースを振り返る。

 次回は、11月の上海6時間レース。WECの2018-2019シーズンは前半戦を終えたばかりだが、可夢偉には10月20日~21日にスーパーGT第7戦、さらに翌週にはスーパーフォーミュラ最終戦が控えている。

 この勝利で、悪い流れを断ち切ることができたか......。可夢偉は「これで次のスーパーGTも、その次のスーパーフォーミュラもいけるでしょう。3連勝目指して頑張ります」と力強く語り、サーキットを後にした。

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