ベッテルは今年もタイトル遠し...。原因はまたもフェラーリのお家騒動か (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「最悪だったのは、ドイツGPだ。ただ、もっとも重要なのは、何が起きたのかがきちんと理解し、説明できることだ。もちろん、勝ちたかったよ。でも、くよくよ悩んだりはしていない。過去に目を向けず、そこから学んで二度と起きないようにすれば、あとは前を向くしかないんだ。

 たしかに、ここ数戦はタフなレースが続いているよ。もっといいところにいられたはずだった。そうなってしまったのには理由がある。それを理解したのなら、僕らは前を向いて戦い続けるしかない」

 ベッテルはそう語るが、フェラーリはミスを犯し続けている。日本GPでも、本当にベッテルのタイトル挑戦を援護するなら、キミ・ライコネンにスローダウンさせて、ひとつでも上の順位でベッテルをフィニッシュさせるべきだった。だが、その指示が出されることもなかった。

 過酷な戦いのなかで、一度のミスは仕方がない。メルセデスAMGとてオーストリアで戦略ミスを犯して勝てたはずのレースを失ったが、彼らの強さは失敗から学び、徹底的に自分たちを強化しようと努力することだ。

 しかし、フェラーリにはそれがない。失敗を繰り返したことで、フェラーリは第10戦・イギリスGP以降の7戦でわずか1勝。6勝を挙げたハミルトンが、気づけばベッテルに67点ものリードを築き上げていた。

 メディアやファンに対して非常にオープンで、自分たちのミスまで含めてしっかりとありのままに語るメルセデスAMGと、ファン対応やメディア対応は最小限に抑え、内に籠もろうとするフェラーリ。自分たちの弱さと向き合い、認めることで強くなっているメルセデスAMGと、政争のなかでミスを認めれば首が飛ぶため、ミスから眼を逸らして外に向けても口をつぐむフェラーリという、その正反対の姿勢にチームのあり方がはっきりと表れている。

 メルセデスAMGは一切の油断なく、タイトルへと着実に近づいている。ロシアGPでチームオーダーを発令し、バルテリ・ボッタスにハミルトンへ勝利を譲らせたのも、彼らの徹底したタイトルへの執念ゆえだ。ウォルフは語る。

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