徹底検証。トロロッソ・ホンダはなぜ日本GP決勝で沈んだのか (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「かなり早い段階からリアタイヤにひどいブリスターが出てしまって、残り20周はブリスターから来るバイブレーションもひどかったし、最後の10周はどんどん悪化していった。バイブレーションがひどくて、ストレートでさえ前がハッキリ見えないくらいだったんだ。あとはもう最後まで何とか走り切るために、タイヤにかかる負荷や温度を抑えることだけを考えて走っていた」

 これも「タイヤに優しい」というSTR13に対する先入観が招いた失策だったかもしれない。

 フリー走行2回目で燃料タンクトラブルによって時間を大幅に失い、ミディアムタイヤでロングランができなかったため、ミディアムを選択肢に入れられなかったのも痛かった。もしかすると、スペック3になって増大したトルクがリアタイヤに影響を与えたのかもしれないが、それもパワーユニットセットアップ遅れのために十分に確認できていなかった。

 ガスリー自身、第2スティントを走り始めた段階では、ブリスターが出るとは思っていなかったという。

「今週はフリー走行2回目でショートランもロングランもできなかったから、フリー走行3回目に向けてエンジンを思ったように調整できなかったし、本当なら金曜日に見つけられていたかもしれない問題にもフリー走行3回目で直面することになってしまった。そのせいで予選に向けてセッティングも仕上げられなかったし、十分な準備ができなかった。今のF1はクリーンな週末にすることが重要なのに、こんなふうに次々とディレイが発生したことで、それが予選・決勝にも響いてしまった」

 新たなメカニカルセットアップとスペック3の投入によって、トロロッソ・ホンダSTR13は大幅にポテンシャルを進歩させた。しかし、レース週末のひとつのつまずきから生じた遅れが次々と連鎖していき、最後は決勝にまで影響を及ぼしてしまったのだ。

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