徹底検証。トロロッソ・ホンダは
なぜ日本GP決勝で沈んだのか
フォースインディアの松崎淳エンジニアは、鈴鹿ではタイヤのデグラデーション(性能低下)が大きいためにトラフィック勢とのペース差は大きく、コース上での追い抜きも可能と見て早々にピットインしたと証言する。しかしトロロッソ・ホンダは、その自信がなかった。フォースインディアとトロロッソ・ホンダでは、コース上での追い抜きに対する自信が違ったのだ。そのせいで、フォースインディアの片方どころか、両方にピットストップで逆転されてしまった。
「終わってからあれこれ言うのは簡単だけど、ピエールはもう少し早めにピットインすべきだった。ただしフォースインディアは、マシン自体が我々よりも速かった。だから、我々としては為す術(すべ)がなかったし、仕方のないことだ」(エドルス)
スペック3の威力がもっとしっかりと確認できていれば、「ストレートが遅く抜けない」というSTR13に対する既成概念に囚(とら)われることなく、勇気を持って早めにピットインできていたのかもしれない。それも、フリー走行で十分に走り込むことができなかった影響だ。
そしてもうひとつの失策が、第2スティントのタイヤマネジメントだった。
金曜フリー走行より10度も高くなった路面温度に対し、どのチームもブリスター(※)の発生を懸念し、リアタイヤのスライド量や温度に細心の注意を払いながらレースを進め、なんとかブリスターの発生を抑えていた。
※ブリスター=タイヤの温度が上昇し、タイヤ表面が膨れ上がったり気泡ができること。
しかし、トロロッソ・ホンダの2台はまだ20周も残っている段階からリアタイヤにブリスターが発生し、トレッド面に段差ができてバイブレーションが生じる状態になってしまった。
それでも、ガスリーはザウバーを抜いて10位を走っていた。しかし、終盤はラップタイムが大幅に低下し、ルノーに抜かれて11位に落ちてしまった。
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