トロロッソ・ホンダ、鈴鹿で悲喜こもごも。
予選はもっと上に行けたはず

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 風向きの変化に弱いSTR13の空力特性は、これによってかなり改善されたようだ。チーフレースエンジニアのジョナサン・エドルスはこう説明する。

「鈴鹿は非常に高速コーナーが多いサーキットなので、空力パッケージの性能を安定させることが大きな効果をもたらす。だから我々はここに新パーツを投入し、最初のフリー走行でブレンドンのマシンにセンサーを装着してデータ収集し、風洞やCFDと実走の誤差を確認した。このアップデートがうまく機能したので、2台ともに週末を通して実戦使用することにしたんだ」

 ドライバーたちも走り始めは、コーナー入口での不安定さやコーナー途中でのフロントの抜けを訴えていた。だが、セッティングの調整によって金曜の走行を終えるころには、ふたりとも満足のいく挙動に仕上がっていた。

 空力的には第9戦・オーストリアGPで投入したフロントウイングが機能せず、細かなアップデートも第10戦・イギリスGPを最後に投入できていない。「大まかに言えば、空力パッケージはシーズン序盤戦のままだ」と、ガスリーも進歩の遅さに不安を述べていた。しかし、今回のメカニカル面のアップデートで、STR13はかなりポテンシャルを取り戻したと言えそうだ。

 そしてなにより大きかったのが、パワーユニットの進歩だ。

 日本GPに向けて、ホンダは前戦ロシアGPの金曜に使用したスペック3のパワーユニットを実戦投入してきた。ベンチテストでさらなるセッティングの熟成を進め、ロシアで直面したシフトアップ時のオシレーション(回転数振動)やドライバビリティを改善してきたのだ。

 ハートレイは、その恩恵を最大限に享受した。

「メディアで報じられている馬力数とか、ラップタイムで0.5秒とかいうのが実際にどうなのか、本当の数字は知らないよ。だけど、中団グループはとてもタイトだからパワーユニットの進化がもたらしてくれた効果は大きかったし、スペック2のままではQ3進出は難しかっただろう。

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