名ドライバーが残した鈴鹿名言集。セナはスプーンカーブで「神を見た」 (3ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • photo by AFLO

【番外編】

ドライバーが発した「名言」ではないが、過去29回にわたって開催されてきた鈴鹿でのF1日本GPで、会場内で生まれた「合言葉」もご紹介したい。

『ありがとう中嶋』

 1987年、日本人初のフル参戦ドライバーとしてF1デビューを果たした中嶋悟。それと同時に開催が始まった鈴鹿サーキットでのF1日本GPは、彼の勇姿を見るべく毎年多くのファンが集まった。

 その期待に応えるように、中嶋は1987年と1990年には6位入賞を飾っている。しかし1991年、そのシーズン限りでの現役引退を発表。彼にとって「鈴鹿ラストラン」となる同年の日本GPは、例年以上に中嶋を応援するフラッグや声援がサーキットを埋め尽くした。そこでの合言葉が、『ありがとう中嶋』だ。

 結果はレース後半、マシントラブルが原因でコースオフを喫し、最後の鈴鹿で完走することはできなかった。それでも、応援してくれたファンに手を振ってピットへ戻っていった中嶋には、満員のスタンドからは惜しみない拍手が贈られた。


『See You Again』

 1987年から始まった鈴鹿サーキットでのF1日本GPだが、ちょうど開催20回目を迎えた2006年にひと区切りを迎えることになった。2007年と2008年は富士スピードウェイ(静岡県)での開催が決定したからだ。今後の状況によっては、鈴鹿でのF1開催が最後になるかもしれない......。そんな雰囲気に包まれた1戦だった。

 この年の鈴鹿は過去最高の盛り上がりを見せ、決勝日の来場者数は過去最多となる16万1000人を記録。3日間合計で36万人を超えるファンが集まった。そしてレース後も、慣れ親しんだ「鈴鹿F1」の雰囲気を名残惜しむファンがグランドスタンドに集結。すると、大型ビジョンには過去20回の鈴鹿での勝者が順々に映し出された。そして、最後に刻まれたのが、『See You again』の文字だった。

 この約束を果たすかのように、鈴鹿サーキットは2009年からF1日本GPの開催を再開。そして今年、記念すべき30回目を迎える。

 これまで数々の名言が生まれた鈴鹿F1日本GP――。2018年はどんなドラマが待っているのか、ぜひとも現地で感動と興奮の瞬間を味わってほしい。

(つづく)

【30回目の鈴鹿F1日本グランプリ】
2018年10月5日(金)~10月7日(日)

数々の伝説が生まれた鈴鹿F1日本グランプリ。
今年は記念すべき30回目の開催。
数々のレジェンドゲスト・マシンが集結したイベントも開催。
今年はどんなドラマが生まれるのだろうか。

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