ディクソンが王者でインディは幕。佐藤琢磨は現チームで来季に挑む (3ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 ロッシはスタート直後に目の前にいたマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)に追突した。フロントロウの2人に合わせて減速したマルコに対し、ロッシはブレーキングを遅らせすぎてチームメイトのリヤに突っ込んだ。これでフロントウィングを破損。そればかりか、新品のレッドタイヤもダメにした。これは戦略的に大きなダメージだった。ピットに向かったロッシの順位は最下位まで下がった。

 これでディクソンの戦いは一気に楽になった。彼はハンター‐レイの真後ろにつけて走り続けた。2回目のピットストップでハンター‐レイがブラックタイヤを装着したのに対し、ディクソンのチームはレッドをチョイス。トップを奪うべくアタックを開始したが、それを阻まれると、2位キープに作戦を戻した。

 その結果、ハンター‐レイが優勝。ディクソンは2位でフィニッシュし、インディカー史上最多タイとなる5回目のタイトル獲得を達成した。ディクソンの通算44勝は歴代3位で、彼より多くの勝利数を誇るのはマリオ・アンドレッティ(52勝)とAJ・フォイト(67勝)だけとなっている。

 今年のディクソンは17戦3勝、14回ものトップ6フィニッシュという圧倒的な安定感でタイトルをものした。

 ディクソンはシーズンのターニングポイントを聞かれると、「ポートランドで1周目のアクシデントに巻き込まれたとき、土煙が消えたら自分のマシンには4輪がちゃんとついていたし、エンジンもかかったままだった。周回遅れにならずにレースに復帰できたとき、『今年はツイテいるかも』と思った」と答えた。彼はそのレースで5位まで順位を上げてゴールしている。

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