トロロッソ、得意コースで大失速。最大のチャンスが一転して惨敗の謎 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 ガスリー自身も予選Q1では、まずまずの感触を得ていたという。しかしQ2では、マシン挙動が一変してしまった。

 予選直後のガスリーは「これだけ大幅にグリップが足りないのは、セットアップよりもタイヤの問題だと思う」と語っていたが、後でデータを解析してみると、それは急に強くなった風の影響だった。土曜は朝から風が強く、Q2の時間帯には風速が強まった。それによって空力パッケージが影響を受け、ダウンフォースを失ったことがデータ上でハッキリと確認できたという。

「Q2ではQ1のときよりも風が強かった。そういうコンディションでは、ウチのマシンは空力がセンシティブで、ダウンフォースを失ってしまった。どんなクルマも風が強くなればそうなるものだけど、ウチのクルマはとくによくない。いずれにしても我々は、Q2ではQ1よりもレスダウンフォースの状態で走っていたことになる」(エドルス)

 しかし、それだけがこの週末の低迷の理由ではない。

 マシンバランスが大きく外れていたわけではないが、とにかくグリップが欠けていて、コーナーを速く走るためにフルダウンフォースをつけたにもかかわらず、「コーナーのあらゆる部分が他車と比べて遅かった」とエドルスは言う。コーナーで遅く、ストレートでも遅いのだから、これだけ遅くなって当然だ。

 ひとつ上のマーカス・エリクソン(ザウバー)とは0.3秒差だったが、もうひとつ上のシャルル・ルクレール(ザウバー)ら中団勢とは1秒ものタイム差があったのだ。

 モナコ(第6戦)やハンガリー(第12戦)などの低速サーキットはもちろん、スパ・フランコルシャン(第13戦)やモンツァ(第14戦)といった高速サーキットでも好走を見せたトロロッソ・ホンダだけに、これだけの差がつくのはおかしい。これはセットアップうんぬんではなく、シンガポールのサーキットに対してこのマシンの「何かが根本的におかしかったと考えなければならない」と、エドルスは説明する。

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