トロロッソ・ホンダ今季最大のチャンス。ガスリーも暑さ対策万全で挑む (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文・撮影 text & photo by Yoneya Mineoki

 しかし、ここはトラクションの善し悪しで踏めるか踏めないかが違ってきますし、コーナーとコーナーがつながっていて、次のコーナーに向けたマシン挙動の善し悪しでも違ってきます。ですから、マシンの仕上がりが全開率を左右することになるんです。そういう意味で、予選フルアタックでの全開率50%超えというのが、マシンの仕上がりのひとつの目標値になります」

 難しいのは、どこでERS(エネルギー回生システム)の発電を行ない、どこでどれだけエネルギーを放出するかというエネルギーマネジメントの配分だ。タイヤのグリップレベルによって全開率が大きく変わるため、エネルギーの使い方も変える必要がある。

 ホンダのエンジニアたちは、ドライバーはもちろん、トロロッソ側のエンジニアたちとも密にやりとりして、予選・決勝の走り方、マシンセットアップの方向性を共有しながらエネルギーマネジメントを考えなければならないのだ。

「ここはタイヤのグリップ状況に合わせて、エネマネを変えていくということが求められます。たとえばグリップレベルが低ければ、それだけ回生できる時間は短くなりますから、他のところで使うことになります。

 予選アタックのエネマネに関しては、コースの終盤にリアがタレてしまうようなら、ディプロイメント(エネルギー回生)は前半である程度、使い切って締まったほうがいいということにもなります。アタックの仕方やタイヤの使い方によってエネマネのプログラムも変えなければならないわけで、そのあたりはチームとよく話し合いながら作業を進めなければなりません」

 こうした部分も、ここまでの14戦で大きく進歩した部分のひとつだ。

 マシンパッケージとエンジニアたちのノウハウと連携、そのすべてをひっくるめてトロロッソ・ホンダがもっとも成長した状態で迎えるこのシンガポールGPは、彼らにとって今シーズン最大のチャンスになるかもしれない。

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