モンツァで予選9位は上出来。トロロッソが高速2連戦で見せた成長 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 そんななかで、トロロッソ・ホンダだけはモンツァ専用のリアウイングを投入してきた。ただそれは、さらにダウンフォースを削ってきたというよりも、ベルギーにこのウイングが間に合わなかっただけのことだ。

 しかし、ベルギーでもそうだったように、F1界全体が高速サーキットでもダウンフォースをつけるのがひとつのトレンドになったことが、トロロッソ・ホンダに味方した。

 つまり、ダウンフォースと空気抵抗を削ってストレートでタイムを稼ぐよりも、ダウンフォースをきちんとつけてコーナーを速く走ってタイムを稼いだほうがラップタイムは速くなる。それが今のF1マシンなのだ。

 フリー走行1回目が雨で有益な走行ができず、専用リアウイングはフリー走行2回目で試しただけ。そのため、シミュレーションに基づくイニシャルセットアップのまま走行し、さまざまなフラップ角度比較やその他のセットアップ調整ができなかった。そんな背景もあって、金曜日はマシン挙動が不安定で苦戦したトロロッソ・ホンダの2台だったが、金曜の夜にデータを精査し、ダウンフォースを増す方向にセットアップを変更して、これがうまくハマったのだ。

 それに加えて、"トウ"をうまく使うことができたのも大きかった。前走車の背後について走り、空気抵抗を減らして最高速を稼ぐ。自転車競技や中距離陸上競技でも多用される技だ。

 ストレートでは空気の薄いところを使い、コーナーでは前走車の生み出す乱気流でダウンフォースを失わないようにしなければならない。その絶妙なタイミングが難しい。

 中には最初からチームメイト同士で前後してコースインし、前走車がメインストレートからトウで引っ張って最高速を稼がせ、次の直線区間でも引っ張ったうえで、第2シケイン手前で譲ってセクター2のコーナー区間に送り出すということをやっているチームもあった。しかし、トロロッソ・ホンダはそういった戦法は採らず、他チームの背後についてトウを使う戦略だった。

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