室屋義秀に起きた初めての「まさか」。エアレース王者の悪夢は続く (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

 この結果、室屋はラウンド・オブ・8敗退の8位となり、3ポイントを加えるにとどまった。3戦ぶりに獲得した貴重なポイントではあるものの、言い換えれば、この3戦で獲得した全ポイントはわずかに3、である。

 チャンピオンシップポイントランキングでトップに立つのは、このレースで2位となり、ポイントを55に伸ばしたマイケル・グーリアン。22ポイントで5位の室屋とは、33ポイントもの差が開いた。

 残り3戦で獲得できる最大ポイントは45。室屋が全勝したとしても、グーリアンが3戦すべてでラウンド・オブ・14敗退になるような惨敗を喫しない限り、逆転は起きない。しかも、2位のマルティン・ソンカ、3位のマット・ホールが49ポイントで並んでおり、彼ら3人が揃って下位に低迷するとは考えにくい。

 室屋は「(年間総合優勝は)まだ不可能ではないし、全然あきらめてはいない」と語る一方で、「自力優勝の可能性はなく、かなり苦しいのは確か」。自身が置かれた状況がいかなるものかは、よく理解している。

 だが、年間総合2連覇という目標達成が限りなく不可能に近づいた今、だからこそ、室屋の真価が問われていると言ってもいい。

 さすがは昨季の総合王者。そのインパクトを、ラスト3戦で残せるか否か。

「今日のようなパフォーマンスが出せれば、残り3つを勝っていける。ベストを尽くしていくことが、たとえ連覇はできなかったとしても、最終的にポーディアム(年間総合の表彰台)につながると思う」

 世界チャンピオンの誇りを示す戦いは、これから始まる。

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