「流れ」を味方にして9位。でもトロロッソのパワー不足は未解決 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 ラップタイムを速くするためには、ストレートよりもコーナーを速く走れるようにしたほうが効果は大きい。その観点からいえば、ダウンフォースをつけるのは「あり」だった。

 ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターはこう語る。

「ラップタイムへの寄与度から考えると、ストレートを伸ばすこととコーナリングスピードを上げること、どっちのほうがラップタイム的に得なのかといえば、それは当然コーナーのほうなんです。コーナーが速ければ、ストレートの立ち上がりスピードも速くなりますから」

 それでも、空気抵抗が大きく最高速が遅ければ、決勝では簡単にストレートで抜かれてしまう。だからこそ、どのチームもできるだけダウンフォースを削ろうと躍起になり、スパ・フランコルシャンには極めて薄い前後ウイングを持ち込んでくる。

 トロロッソはやや厚めのウイングで走行し、土曜のFP-3(フリー走行3回目)では薄いリアウイングをトライしてみたが、最高速は伸びなかった。ウイングよりも車体全体の空力効率の問題だったのだ。

「ライバルと比べて僕らは最高速が低かったし、もっとスピードを稼ぎたかったから、金曜に使っていたものよりも薄い別のスペックを装着して走行してみた。だけど、ウイングを削ってもダウンフォースが減るだけでストレートが伸びなかったから、元のウイングにまた戻したよ。これよりも薄いのは、もうモンツァ仕様しかない。それでも最高速はうまく伸びてくれなかったんだ」(ガスリー)

 トロロッソは結局、ダウンフォースレベルを削ることなく予選・決勝に臨んだ。最高速よりもラップタイム優先、そしてタイヤのデグラデーション(性能低下)を防ぐことを優先した。

 苦しいレースになるかと思われたが、スタート直後の大混乱をうまく切り抜けたガスリーは、フェラーリ製パワーユニットのハース勢とザウバーのマーカス・エリクソンに挟まれながら、しっかりとポジションを守って走り続けた。

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