2018.08.21

原付で時速200キロ超。日本の
「ものづくり技術」が世界記録に挑む

  • text & photo by Sportiva

「このプロジェクトを思いついたきっかけは、昔ロードレースをやっていたときに感じた矛盾にあります。『レースで弱者が強者に勝つためには安全マージンを削るしかない』というリスクに悩んでいたときに行き着いた答えが、ミニマムチャレンジでした。これなら、純粋に自身の経験と技術力を武器に記録という勝負ができる。最も困難な状況から、自分たちの全知全能を駆使して戦うというテーマをいつかやりたいと思っていました。

 それから約20年の時を経ましたが、2017年に製造業の世界を描いた映画『切り子の詩』を制作したご縁で、日進工具さんをはじめ多くの日本のものづくり企業のご支援をいただけることになりました。製造業のみなさんを応援していたら、いつの間にか応援される立場になり、背中を押していただいた形です」

 近兼は、プロジェクトを立ち上げるにあたっての苦労をこう話す。

「普通に考えて、56歳のおっさんがランドスピードレーサーとして世界記録に挑戦すること自体が、もう奇跡としか言いようがない。アスリートとして通用するのか。誰もつくったことのないマシンをつくれるのか。本気で世界の頂点を狙うなら、業種を越えたオールジャパンの技術サポート体制でしか勝ち目はない。すべてが困難でしたが、こうして条件が揃い、スタートラインに立てたことに、感謝しかありません」

 プロジェクトは、「世界を席巻したスーパーカブの4ストロークカブ系エンジンをベースに、日本製造業の技術力を結集し、世界最速に挑む」というテーマを掲げており、これに賛同した中小企業や町工場を含む計30社の企業がサポートする。髪の毛に文字を掘ることも可能な世界最高の工作精度を持つ切削刃物。その超精密工具の性能を極限まで引き出す国産マザーマシン。驚異の摩擦低減技術など"日本最高のものづくりテクノロジー"が集結した。