F1シーズン後半戦展望。「フェラーリらしくない」が王座奪還のカギ (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 しかし、マシンパッケージとして、中団でもっとも高い競争力を誇っているのはハースだ。いちばん苦手としていた低速のハンガリーでトロロッソ・ホンダに次ぐ速さを見せたことから、後半戦はランキング4、5位獲得に自信を深め、2019年に向けた開発にシフトすることになりそうだ。

 ハースが落としたポイントをもっとも多く拾ったのは、序盤戦はマクラーレンだったが、中盤戦以降はルノーだった。ルノーはワークスチームとして予算を拡大し、チームの人員もファクトリー設備も増強が進んでいる。その効果が着実に表れ、安定した速さを見せるようになってきている。

 ドイツGPに投入した独創的なフロントウイングは、その週末はうまく使いこなすことができなかったものの、4日後のハンガリーGPには改修を施し実用化してきた。この短期間できちんと修正するというのは、チームとしての対応力の高さがなければ容易にできることではない。

 トロロッソ・ホンダはバーレーンとハンガリーで計2回の中団トップの座を獲ったが、それ以外でアップダウンの幅が大き過ぎた。第9戦・オーストリアに投入したフロントウイングは結局最後まで使いこなすことができず、チームとしての対応力という点ではルノーに大きく後れを取っていることが如実になった。

 その一方で、中団トップが一度もなく、抜きん出た速さがあるわけではないザウバーにしても、マクラーレンにしても、彼らは持っているポテンシャルを最大限に引き出し、安定してポイントを獲得している。

 トロロッソ・ホンダが12戦で入賞5回なのに対し、マクラーレンは11回、ザウバーは8回。トロロッソ・ホンダは4位と6位で大量得点を稼いでなんとかランキング8位につけたが、安定感では遥かに劣っている。これはマシンそのもののポテンシャルの善し悪しというよりも、ポテンシャルを結果につなげるためのセットアップ能力、レース運営能力、ドライバーの腕といった総合力の差といえる。

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