F1シーズン後半戦展望。「フェラーリらしくない」が王座奪還のカギ (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 夏休み明けには、どのチームも今季3基目の新スペックを投入してくる見込みで、この進化度がふたたび勢力図をシャッフルすることになるかもしれない。現状のままなら、後半戦はフェラーリ優位のサーキットが多いが、メルセデスAMGがスペック3でフェラーリにふたたび追いつけば、メルセデスAMGの牙城は確固たるものになる。また、ルノーがスペックCで大きく飛躍して2強パワーユニットとの差を縮められれば、レッドブルは低速サーキットでなくとも優勝争いに絡んでくるかもしれない。

 いずれにしても、シーズン後半戦も接戦が続き、ちょっとしたことで波乱が起きやすいエキサイティングな戦いが続くだろう。そんななかで、チャンピオン争いが終盤戦までもつれ込むためには、安定した速さを見せるメルセデスAMGに対して、フェラーリが前半戦に何度か見せてしまった自滅や戦略ミスをいかに少なくすることができるかにかかっている。

 よくも悪くもそれがフェラーリの伝統のように語られるが、現行体制では初めてのタイトル争いに挑むフェラーリが、最後まで冷静に戦うことができるか。選手権を盛り上げるキーファクターは、「フェラーリがフェラーリらしくないフェラーリになること」ができるかどうかだ。

 一方、中団グループも大接戦のシーズン前半戦だった。

 0.7~1秒に7チーム14台がひしめくような状況で、こちらもサーキットごとに勢力図が入れ替わる。使用しているパワーユニットによる影響も小さくはなかったが、ワークスチームに比べればカスタマーチームは抑えた使い方を余儀なくされており、その影響はワークスほど色濃くはなかった。

 そんななかで、もっとも安定して中団トップの速さを発揮したのが、ハースだった。

 12戦のうち6戦で実質的な中団トップ。ロマン・グロージャンの自滅やオーストラリアのホイールナット装着ミスなどで失ったポイントが多く、実際の結果では中団トップは3回、ランキングでは5位にとどまった。

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