「F1を目指す女子高生」小山美姫が20歳に。この2年の成長は? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 実は今年、彼女はSRS-F(鈴鹿レーシングスクール・フォーミュラ)に入校していた。鈴鹿サーキットのスクールではあるが、実質的にホンダが育成ドライバーを選定するための場としての意味合いが強く、ここでスカラシップを獲得すれば、翌年はホンダの育成枠に入ってホンダ系チームからFIA F4に参戦できる。その先はホンダのドライバーとして、F3やスーパーフォーミュラ、スーパーGTなどで活躍する道が開ける。

 日本からF1に参戦し、育成ドライバーをヨーロッパの下位カテゴリーに送り込んでいるのがホンダしかない現状では、莫大な資金や特別なコネクションを持たない一般人が日本からF1を目指すには、「SRS-Fからホンダの育成枠へ」というのが最短ルートということになる。

 ホンダ関係者からの推薦もあって、小山は今年SRS-Fに入校した。彼女にとって、それはF1を目指すうえで大きな賭けであり、これが最後ともいえる希望だった。

 しかし、結果は落選。計16日間にわたって行なわれたスクールの選考はかなりの僅差だったようだが、小山は最後のスカラシップ選考会に残ることができなかった。仮にスカラシップを獲得しても、さらにもう1年FIA F4に参戦させるわけにもいかない、という大人の事情もあったようだ。

「しばらくは抜け殻状態でした。スクールに落ち、FIA F4のほうも参戦資金が厳しくて、本当に心がズタボロで真っ暗になってしまいました。ただ、それでも応援してくれる人が周りにたくさんいてくれて、もっともっと成長しなければならないと思いました。なにより、『全員抜いて見返してやりたい』と心の底から思ったというのが正直なところです。(スクール落選で味わった)計り知れない悔しさが、最大のモチベーションに変わりました」

 小山は、参戦資金の枯渇にも苦しんでいた。

 2016年、かつて彼女を走らせていたチームが外的要因から撤退を余儀なくされて以来、彼女は資金不足で思うようにFIA F4を走ることができなくなってしまった。そのため、昨年は成績が低迷し、学習の年と割り切って経験値を積み上げることに専念するしかなかった。

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