「F1を目指す女子高生」小山美姫が20歳に。
この2年の成長は?

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 女性ドライバーとジェントルマンドライバーを対象にした『インデペンデントカップ』に登録していれば、毎戦優勝者として表彰台に上がることになったはずだ。だが、それをよしとしないのは、彼女の目標が「女性として戦うこと」ではなく、純粋に「レーシングドライバーとして戦うこと」だからなのだろう。

 日本人初のルマン24時間ウィナーであり、トヨタの育成プログラムを統括する立場でもある関谷正徳が主催した女性ドライバーのためのレース『競争女子選手権KYOJO-CUP』が昨年に創設され、小山はライバルたちに圧倒的な差をつけて初代チャンピオンに輝いた。今年も引き続き参戦し、6月に行なわれた開幕戦ではフォーミュラ・ルノー3.5とGP3の参戦経験もあるオランダ人ベイスク・フィッセールにも大差をつけて優勝を飾っている。

 元F1ドライバー野田英樹の娘Juju(野田樹潤)がメディアに採り上げられ、女性ドライバーにも注目が集まりつつある。だが、Jujuはまだ12歳であるため、日本のライセンス制度のなかで本格的なレースに参戦することができず、3、4年の歳月を待たなければならない。

 今の女性ドライバーのなかでは、小山が最速のひとりであることは間違いない。

 彼女自身、マシンやドライビング、そしてレース界のさまざまなことに対する理解が深まり、それが成長につながったと語る。

「(FIA F4の)第3戦のときはレース後半のペースが遅くて、前走車に着いていくどころか後続を抑えるのでいっぱいいっぱいでした。でも、今回は自分のなかで理解が深まり、確信を持ってドライブできたことで、レース週末を通していい状態をキープできたんです。

 何度もデータロガーや車載映像を確認してイメージを作り上げ、路面変化の予測もできるようになり、これまで想定外なことだらけだったレースが、自分のイメージとマッチして、想定内なものにできるようになってきました。それが、今の速さや強さにつながっているんだと思います」

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