ロレンソ、ランキング14番手から急浮上。2番手ロッシの背中捕らえた (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 ハードコンパウンドで揺さぶりをかけるマルケスにピタリと張りつき、冷静に対応し続けた状況については、「タイヤがオーバーヒートしないようにマネージするのは、とくに序盤10周が大変だった。昨日までは、マルクやドヴィと比較して(コース全4区間のうち)セクター3でだいぶ損をしていたので、映像で自分の身体の使い方をチェックした。今日の決勝では、その部分をレース中に走りながら、どんどんよくしていくことができた。最後までマルクとの争いになると思ったので、自分は体力とタイヤを3~5パーセント温存して、攻めどきを待った」。

 その言葉どおり、ロレンソは全28周のレースで残り10周となった19周目にマルケスの前に出た。しかし、マルケスもロレンソに対して、コース上の自分が得意なポイントで勝負を仕掛けていった。

 レース終盤は、マルケスがロレンソに対して0.028秒前、という状態で最終ラップを迎えた。1コーナーではロレンソが仕掛けて前に出た。その後、マルケスが得意の3コーナーで再度勝負を挑むものの、ロレンソがアウト側から抑え切り、最終区間でもマルケスに隙を与えず、0.130秒の僅差で先にチェッカーを受け、息詰まる激戦を制した。

 この勝利で25ポイントを加算したロレンソは、年間ランキング3番手に浮上した。今季初勝利を挙げたイタリアGP以前の状態と比べると、見違えるような復活ぶりだ。第6戦・イタリアGP直前の状態を見てみると、95ポイントでランキング首位のマルケスに対して、ロレンソはわずか16ポイント。この当時は、ランキング14番手に低迷している有様だった。

 ところが、イタリアGPとカタルーニャGPで連勝して以来、今回までの6戦でロレンソは114ポイントを獲得。一方のマルケスは106ポイント。とはいえ、ふたりの現在の点差は71で、マルケスの高い安定感も考慮すれば、今季残りの8戦でこの差を埋めるのは容易なことではないだろう。

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