ジェンソン・バトン痛恨のペナルティ...王座獲得へ「大量得点」が必要 (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 ダブルイエローとは、マシンの停車によってコース上が塞がれていたり、マーシャル(マシンの回収等を行なう係員)がコース近くで作業をしている場合に出されるフラッグのこと。通常のイエローフラッグより「危険な状態であること」を走行中のマシンに知らせるもので、万一の際はマシンを停車できるほどの速度まで減速しなければならない。もちろん、追い越しは厳禁だ。

 そのダブルイエロー区間で、バトンはGT300のマシンを追い抜いてしまった。ダブルイエロー中の追い越しは罰則が重く、100号車には「10秒ストップペナルティ」が科せられてしまった。

 レース後のバトンによると、完全にダブルイエローを見落としていたという。バトンがこれまで慣れ親しんできたフォーミュラカーとは違い、屋根付きのGTカーはピラー(柱)などが死角となって視界が制限される。また、GT300マシンとの混走で追い抜きを繰り返す慌ただしい状況が重なり、バトンは違反を犯してしまったのだ。

「このペナルティで、合計45秒くらいタイムロスしてしまった。これがなければ表彰台を確保できていたかもしれないと思うと、悔しいね」(バトン)

 その結果、100号車は14番手まで後退。ポジションはまた振り出しに戻ってしまった。だが、ここからバトンはスーパーGTでの成長ぶりを見せる。

 5月に行なわれた第2戦でのバトンはペースが上がらず、ライバルに抜かれる場面が多々あった。だが、今回はライバルに劣らぬ1分32秒台のペースを維持。しかもGT300との混走でありながら、そのペースはまったく乱れることがなかった。

 その後は山本とともに順位を上げていき、5位でフィニッシュ。最終的にはトップから32秒差まで追い上げてのチェッカードフラッグだった。

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