鈴鹿F1日本GP。「セナ・プロ対決」は感情むき出しのドラマだった (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 彼らが最強ホンダエンジンを駆ってドラマを演じることで、日本では急激にF1ブームが広がった。そして時を同じくして、F1の技術は急速に洗練されていき、マシンもスタイリッシュになっていった。テレビ放映権を中心としたビジネス構造が拡大し、F1チームの予算も急騰していった。それに呼応するように、ドライバーたちの立ち位置も命の危険を顧(かえり)みずモンスターマシンをねじ伏せる荒くれ者というイメージから、一大ビジネスに関与する洗練されたプレーヤーという存在へと変貌していった。

 鈴鹿を舞台に繰り広げられた「天才」と「教授」という対極的なふたりによるバトルは、どこか牧歌的な雰囲気も残っていた1980年代から、洗練された新しいF1へと進化していく1990年代への世代交代をも象徴していたように思われる。人間味を剥き出しに感情をぶつけ合ったセナ・プロ対決は、まさにそんな時代の狭間で鈴鹿日本GPを彩った最高のドラマだった。

(2)へつづく>>

【30回目の鈴鹿F1日本グランプリ】
2018年10月5日(金)~10月7日(日)

数々の伝説が生まれた鈴鹿F1日本グランプリ。
今年は記念すべき30回目の開催。
数々のレジェンドゲスト・マシンが集結したイベントも開催。
今年はどんなドラマが生まれるのだろうか。

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